いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 夜の帳に闇は閃く」佐島勤(電撃文庫)

2097年8月、世界に衝撃が走った。ひとりの魔法師が大国に対抗する実力を示したのだ。
その魔法師の名は司波達也、「触れてはならない者たち」と恐れられる四葉家の一員にして、当時まだ18歳の高校生であった。
この事件を契機に、彼は世界から恐れられ、現状の世界体制の維持を願う者たちから密かにその命を狙われる存在となる。
2099年の春、魔法大学に黒羽亜夜子と文弥の双子が入学する。
新たな大学生活、そしてなにより上京することで四葉家の諜報部門を担う黒羽家の一員として敬愛する達也の力になれることを楽しみにしていた。
だが、そんな亜夜子と文弥に達也のことを狙う海外マフィアの影が忍び寄り――。


スピンオフ作品『司波達也暗殺計画』の続編。
また達也の魔王様ムーブと新たな仲間を加えた榛有紀たちの活躍を読みたいと思っていたので、これは嬉しい続編。
あの後、有紀たちが予想通りにいいチームになっていてなかなか頼もしいと共に、やっぱりその後が読めるのは楽しい。達也に会うたびにトラウマを呼び起こされている有紀は気の毒だったけどw
但し、今回の主役はあくまでも黒羽姉弟。主に文弥。
達也を狙う欧州の裏社会との抗争を描く話……のはずだったのが、このシリーズでは相変わらずな海外の裏稼業な方々の弱さと警戒感のなさに苦笑いしか出ない。ゲームでいうところの一撃でバッタバッタと倒される無双シリーズの敵みたいなものだと思えばいいのかな。一応『キグナスの乙女たち』の伏線にもなっている様なのだけど、ここまで弱いと高校生たちにもなぎ倒される未来しか見えない。
そんなわけで、主役の文弥に関しては深雪に次ぐお兄様教(狂)の暴走や、文弥が背伸びして大人の男性を目指すのを諦めてしまった経緯を生温かく見守る、戦いよりも私生活の方を楽しむのがメインに。文弥の男の娘化は喜べばいいのか悲しめばいいのか。