いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件8.5 小冊子付き特装版」佐伯さん(GA文庫)

自堕落な一人暮らし生活を送る高校生の藤宮周と、“天使様”とあだ名される学校一の美少女、椎名真昼。
ふとしたきっかけから徐々に心を通わせ、いつしか惹かれ合っていき、お互いにかけがえのない相手となった二人。
かたちを変えた関係のなかで紡がれた、様々な思い出を描く、書き下ろし短編集。

特装版小冊子には、ファンタジーをテーマにした、ここでしか読めない書き下ろし短編3編を収録。

小冊子付きだけは特装版を買う勢



付き合い始めてからの二人の様子を描いた書き下ろし短編集。
第一話が真昼が長年付けてきた日記を読み返す体のスタートで、その後思い出話を含めて、短編でしか読めない真昼の視点が多めなのが嬉しい。また、門脇と藤宮夫妻が出て来る話が1話ずつ、あと真昼の思い出話の中に小雪さんは出て来るが、他はほぼほぼ”二人の世界”になっているのが特徴。
まずは何と言っても短編集でしか読めない真昼視点。
ついに出ました小雪さん。この人が今の天使様を形作っていただいた神なのですね。拝まなきゃ(*-人-)アリガタヤー
という冗談はともかく、真昼が捻くれず真っ直ぐに育ったのは彼女のおかげなんだと分かる、悲しくも優しいエピソードが沁みる。本編での周との顔合わせはあるのだろうか? 娘さんをくださいイベントするなら小雪さんしかいないのだけど。
“今”の話の方は周視点真昼視点に関わらず、今回も大変お甘うございました。
周と真昼と睦み合いって、相手の良いところを褒め合い、自分を棚に上げて相手の自己否定と遠慮に駄目出しして、遠慮がちにスキンシップしては行き過ぎて恥ずかしくなり、を繰り返してるだけなんだけど、そのやりとりから滲み出る二人の誠実さと、溢れ出している相手がどれだけ大切か、大好きかという想いが、なんとも心地よくてずっと読んでいられる。
それと、高校生という夢見がちな年頃なのにも関わらず、二人で幸せになる道筋がしっかり立っていて、堅実で現実主義なところも安心感があってずっと読んでいられるもう一つの要因。ドキドキよりもホッとすることを選ぶ二人、これはもう高校生の恋の話ではなく、大人の新婚さんの話なのではなかろうか。
砂糖を吐きそうなほど甘さと、まひるんかわいいを十分に堪能した。今回もお腹いっぱいです。


特装版小冊子の方は、
「シンデレラ」に「男女入れ替わり」に「ケモミミ生えました」のラブコメ定番の夢オチなんちゃてファンタジー
どの話も必要以上に慌てず騒がずなのが、実に周と真昼らしい。でも、こういうのってドタバタするのがお約束であって……この子たち実は普通のラブコメには向いていないな?
面白かったのは、盛大に物語が始まらなかったシンデレラ。フラグ折りの達人もしくは夢見ない女子は現実主義者な真昼さんであった。