いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ロクでなし魔術講師と追想日誌11」羊太郎(富士見ファンタジア文庫)

ロクでなし魔術講師と追想日誌11 (ファンタジア文庫)

来るべき比翼の日(バレンタイン・デー)だがそこには堕落の果実(チョコレート)を強奪する組織が現れーー『大惨事チョコレート大戦』。グレンの反対を押し切り魔渋滞時についてきたシスティたち。彼女らを待っていたのはサキュバス!?ーー『世界最強の魔獣』。あの“迷”探偵がまたまた登場。今度は怪盗と直接対決?ーー『魔導探偵ロザリーの事件簿・飛翔編』。国外任務のためにグレンとセラが潜入。怪しまれないよう新婚夫婦を装うことになりーー『偽装夫婦のシンフォニー』。
そしてーー禁忌教典をめぐる戦いを終え、卒業の日を迎えたシスティたち。だが現れたグレンは最後にとんでもないことを突き付けるーー「要するに、“最後の卒業試験”ってやつだ」


ロクでなし魔術講師短編集11冊目。
本編終了後初の短編集はいつものコメディ短編三編と追憶一編。そして卒業の日。
コメディの短編は三編ともいつも通りのハイテンション。いや、いつも以上だったかもしれない。
お気に入りは『大惨事チョコレート大戦』。嫉妬に狂う男共を一瞬で鎮めるルミアさんマジぱねーっす。ある意味トドメを刺したような気もするけど。そして敵の首魁を沈めたイヴさんもマジp……むしろグレンの口に入らなくて良かったのでは?
そんな相変わらずだった短編と違い、いつもと毛色が違ったのが特務分室時代のエピソードが語られる追憶編。
いつもは辛さや切なさが強いエピソードばかりだが、今回はグレンとセラが夫婦役で潜入捜査をする話で緊張感なしのラブコメモード。セラの幸せそうな様子がこれでもかと詰め込まれていた。セラにまつわる話は彼女にとってもグレンにとっても辛い話ばかりだったから、最後の少しでも報われて本当に嬉しい。ただ、セラの〇〇姿の挿絵がないという致命的な不具合が。珍しくグレンがその手のことで空気読んで頑張ったのに。編集部にはくろね先生を拝み倒してでも描いてもらって欲しかった。
最後はシスティたちの卒業の日。
すんなりしんみり卒業式、なんてことはもちろんなくグレン先生による粋な卒業試験が。
幾つもの修羅場を潜り抜けて強くなりすぎてしまった生徒たちを一度諫めながら、彼らの成長を促す卒業試験の内容に感服。グレンってちゃんと先生だったんだな(今更w
学園ものらしい綺麗なラストを迎えてしまったが、ロクでなしはこれでラストなのかな? 後日談が少ないのでまだありそうな気がするけど。