いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



リリスにおまかせ! (電撃文庫)

リリスにおまかせ!」麻宮楓(電撃文庫
リリスにおまかせ! (電撃文庫 あ 25-1)

わたしがお仕えするサタン様は類い希な美貌の持ち主だ。でも本来の力を失った今の外見は十歳くらいにしか見えない。なので、お風呂やお着替えを手伝うのもわたしの大事な役目である。サタン様がお一人で上手く洗髪できないのも乱暴に服を脱ぎ散らすのもすぐに涙目になってしまうのも、全て『魔王』としての力を失っているからなのだ。
そして、世界を手中に収める力を貯めるべく街で小さな悪事をコツコツと働いていると、愛沢という妙に気になる少年と遭遇した。最近にしては珍しい男気のある愛沢のことを探るため、わたしとサタン様は双子として晴嵐高校に転入することにしたのだが──。
第14回電撃小説大賞最終選考に残った唯一のラブコメ、鮮烈デビュー!

表紙の子はサタン様。この容姿でツンデレじゃないなんて詐欺だ!(マテw


ラブ…コメ?
表紙はこれだしラブコメだというからギャルゲ風作品かと思ったら、いい意味で裏切られた。
全編、魔王の使い魔リリスの一人称で語られているのだけど、このリリスの天然っぷりが凄い。常識が一般人とあまりにもかけ離れていて、どんな些細な出来事もリリス視点になると無駄に壮大に語られる。ただし、そんなリリスなので「ラブコメどこいった?」というくらいラブはない。そもそも超天然娘の一人称じゃラブが成立しないだろうに(^^;
そういうところをひっくるめて“ズレ”が面白い。
と、前半は面白いのだけど後半が微妙。
この作風でマジバトルはどうだろう? 同じ戦闘でも、もっと気が抜ける要素を取り込んでくれれば楽しめたんだろうけど、これはマジすぎて若干引いた。
変わった視点によるズレが面白い作品だったので、本当に事を大きくしないで最後まで些細な出来事を書き綴ってくれた方が面白かったような気がする。