いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い」猿渡かざみ(ガガガ文庫)」猿渡かざみ(ガガガ文庫)

「佐藤さんは高嶺の花で誰に対しても塩対応。でも、意外と隙だらけだって俺だけが知ってる。写真を撮るのが下手。そのくせドヤ顔しがち。そして、へにゃっと笑う顔がすごく可愛い」「押尾君は誰に対しても優しい。でも、意外といじわるなところもあるって私だけが知ってる。SNSを使うのが上手。オシャレなカフェの店員さん。そして、悪戯っぽく笑う顔にすごくドキドキする」――これは内緒だけど、俺(私)はそんな彼女(彼)のことが好きだ。 初々しくて、もどかしい二人の初恋の物語。 尊さ&糖度120%! 両片思いな甘々青春ラブコメ!


美少女だけど極度の人見知りであがり症の佐藤さんと、彼女を入試の時に見かけてから絶賛片想い中の押尾君による両片想いラブコメ
彼氏の押尾君の方は好印象。ラノベ主人公らしく鈍感ではあったけど、慌てながらも好きな子に見せる確かな優しさ、人の意見を素直に聞く素直さ、自分の考えをしっかり持った芯の強さ。まさに好青年だった。
ただ、佐藤さんがね・・・。
とにかく常にパニックに陥っている。ここまでいけばコミュニケーション障害と言っても過言ではないだろう。「俺コミュ障だから」と自分からのたまうファッションコミュ障とは訳が違う。カウンセリングに通わせるところから始めた方が……と、創作物にマジレスしたくなるレベル。
こんなに強く、しかも常時テンパられてしまうと、居たたまれなさと心配が先に来てしまって、可愛いとか甘さとかを感じる暇がない。両片想いのラブコメは、じれったさを感じるのが醍醐味だが、もちろんそれも感じられない。
他にも、周りのテンションといい、メイン二人の食わんばかりの親父たちキャラが濃さといい、全体的に演出過剰に感じる作品だった。自分には合わなかった。