いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「異人館画廊 透明な絵と堕天使の誘惑」谷瑞恵(集英社オレンジ文庫)

千景のもとに「――もうすぐ僕は、絵を完成させる。見た人を不幸にする絵だ……」と脅迫めいた手紙が届いた。消えた図像術の研究者、有名な心霊スポット「切山荘」、四つの絵……点と点が線となり、やがて千景の過去へと繋がっていく。誘われるように、自らの失った記憶に向き合おうとする千景を透磨は案じ、守ろうと二人の距離は近付いて――!? 待望の第六弾!!


千景が記憶を失った誘拐事件の関係者が続々登場! ついに物語の根源となる事件が語られるシリーズ第6弾。
このシリーズは元々登場人物に病んでる人が多かったり、千景が要らない意地を張って自ら窮地に飛び込んだりで、不安になったりハラハラしたりすることの多い作品であるが、今回はいつにも増して不安を煽ってくる。
千景に昔の事件を思い出させるために何度も繰り返し丁寧に事件をなぞっていく展開に、相も変わらず自分だけの想いで悪い方悪い方へと流れていく千景の様子。それに加えて、いつもは余裕をもって見守っているはずの透磨が、今回ばかりは焦っているので、読者は一息つく暇がない。
緊張感、ハラハラ感という点ではシリーズ過去最高の一冊。その分、読み切るのに体力を使う一冊だった。
これで囚われていた過去の出来事が明るみになったが、これで千景は自分に自信が持てるのだろうか? そして二人の関係は進むのか? 次巻が待ち遠しい。