いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「白き帝国 約束の戦旗2」犬村小六(ガガガ文庫)

白き帝国: 約束の戦旗 (2) (ガガガ文庫 ガい 2-35)

『全ての色彩を重ね合わせると白になる。ぼくが作るのは、全ての種族をひとつにまとめた「白き国」だ』。異なる種族同士が争いをつづける葡萄海。少年が見た夢は無惨に踏みにじられ、ガトランド王国は滅亡する。黒薔薇騎士団による包囲を突破したガトランド王家の主従七人は小さな飛行艇に乗り、サルペドン子爵の庇護を求めて蛮族が割拠する無法の地、タイタス原野を目指す。しかし目的も性格も異なる七人の旅路は混迷を極め、突如として現れた姫騎士率いる騎兵隊にh捕捉され……。唯一無二の王道ファンタジー群像劇、第二弾!


恨みを募らせた人間族の反逆によって栄華を極めた猫耳の種族の国ガトランド王国は滅亡。命からがら逃げだしたガガ王子とシュシュ王女他主従7名は、異種族が争いなく平和に暮らす国「白の国」という遠すぎる理想を胸に、再起をかけた逃亡生活が始まる。
1巻ラストの絶望感からすると、思いの外上手くいった逃亡生活と潜伏生活という印象の2巻。前回の調子で人間側が一枚岩で本気を出してきたら2巻で猫耳殲滅エンドになってしまうか。
コメディタッチなエピソードが多く、世界の命運が掛かっているのはまだまだおバカなことやっていても普通な若者たちなんだと、認識させられる。中でもガガとノアの様子が象徴的。平時はツン×ツンでニヤニヤが高くて、ピンチではお互いの信頼感と大切さを強調してくる。これはパっと出の姫騎士さんにはチャンスなさそう。
まあ当然のごとく、コメディができる平和な時間は長くは続かないのだが。
潜伏先を黒薔薇騎士団と同盟を組む変態公爵に率いられた混成軍に攻められる、戦力差が絶望的な陸戦。
こんなの壊滅しかないじゃないか……と思っていたら事態は思わぬ方向に。
前回、敵戦力としては最強クラスだったある人物が裏切ったり、これ以上減らないだろうと思っていた7人の味方から裏切り者が出たりで、人間関係と勢力図が混迷を極めていた。あまりの出入りに激しさに勝ち負けとかどうでもよくなるくらい。これは最終的に誰が味方で誰が生き残るのか予想がつかない。
そんな中、一人だけしっかり主人公していたのがガガ王子。やはり彼が物語の中心なのかな。群像劇とはいえ芯は必要だし。
次回、力を蓄えるために東へ。仲間は増えたが一体誰と誰が裏切るのか……。



ネタバレ独り言
自称魔王様が手札最強のジョーカーと思っていたんだが、もしや逆か? でも彼が猫耳だから敵と決まったわけではないかも。ドS姫様は予想以上に立場が弱い。気質と火種、暴走する要素たっぷりで早々に退場しそうな気配がある。問題はどこを巻き込んで爆発するか。