土曜日しか営業しないうえ、店主は男子高校生という不思議な“カフェ・チボリ”。あたたかいもてなにしにくつろいだ常連客たちは、身の回りで起こった謎について語りだす。それらは『マッチ売りの少女』や『みにくいアヒルの子』など、アンデルセン童話を連想させる出来事で――店主のレンがマッチを擦ると、謎解きの時間が始まる! デンマーク料理も堪能できる、安楽椅子探偵譚。
長い石垣の塀の先の森、その森をさらに入っていく見えてくる北欧風の一軒家カフェ・チボリ。土曜しか営業しないその店を舞台に、若いマスターと常連客が持ち込まれた謎を解き明かす短編連作ミステリ。
すみません。合いませんでした。
まず、若くて陽気なマスターが作り出す和気藹々としたカフェの雰囲気。悪くはないのだが、静かな落ち着いたカフェの方が好みなので、賑やかなのはちょっと遠慮したい。
次にデンマークを中心に古き良き時代のヨーロッパの雑学や思い出。薀蓄小説は好きなのだが、その頃のヨーロッパ、特に美術品にはそれほど興味がない。
楽しみにしていたデンマーク料理。名前とどのような料理かという説明だけで、料理と食べているところの描写が薄いので、食欲は刺激されなかった。残念。
そして肝心のミステリは、
探偵役が推理を披露するのではなく、常連客たちが意見を出し合って謎を解き明かそうとするグループディスカッション形式の解法が新鮮で面白い。しかし、その答えに納得がいかない話、明確な答えのない話ばかりで読後感はモヤっと。答えが出た上での後味苦めは気にならないが、答えがはっきりしないのは好きじゃない。
どの要素も好みから少しずつ外れていた。こればっかりは好みの問題だから仕方がない。